春日山原始林は、奈良市中心部に広がる古都奈良の寺院、東大寺大仏殿・二月堂、春日大社、興福寺などの東側に広がる原始林で、新年の山焼きで知られる若草山(三笠山)の背後の山体を中心として約250haの広さがあります。
この区域は、841年に勅命により狩猟と伐採が禁止されて以降、春日大社の神山として積極的に保護されたため、カシ、シイ類を主体とした常緑広葉樹林の原始林となっています。
市街地(奈良市)に近接した非常に珍しい原始林であることから、1955年(昭和30年)2月に特別天然記念物に指定されました。1998年(平成10年)12月にはユネスコの世界遺産に登録されましたが、その際、自然遺産ではなく文化遺産として登録されました。これは、春日山原始林が、日本人の伝統的な自然観と深く結びついて守られてきた景観と環境であることから、文化遺産「古都奈良の文化財」の一要素として指定されたものです。
「奈良県公式ホームページ https://www.pref.nara.jp/item/73340.htm」
奈良市内から若草山・春日山を望む
(手前の赤い建物は平城宮跡 大極殿、後方やや左の草地は若草山、若草山の麓に大仏殿が見える)
世界遺産内での施工事例
さて今回ご紹介するのは、この春日山原始林の中、奈良奥山ドライブウェイ(奈良奥山コース)に面した斜面におけるユニットネット工の施工箇所です。この奈良奥山ドライブウェイは、ドライブウェイとは言うものの原始林を守るため未舗装路であり、多くのハイカーたちが歩く遊歩道でもあります。
ユニットネット工の施工現場は、奈良奥山コースの中ほど、興福寺別院への分かれ道にあたる大原橋の真正面にあります。この場所のすぐ近くには、世界遺産を示す石碑と大原橋休憩舎もあり、暫しの間休憩しながらのんびりと原始林の森林浴を楽しむことができます。
「奈良県公式ホームページhttps://www3.pref.nara.jp/park/secure/2833/kasugayamagenshirin_guide.pdf」から抜粋し加筆
「世界遺産 古都奈良の文化財 春日山原始林」の石碑 右に大原橋、左がユニットネット工施工地①
ユニットネット工施工地①の全景
右にユニットネット工施工地①、正面左奥に大原橋休憩舎
ユニットネット工施工地②(崩壊地の復旧箇所)の全景
ここでは、近接して2か所の施工地(予防的な法面保護・補強個所(施工地①)と崩壊跡の災害復旧箇所(施工地②))があります。これらは施工後5~6年程度経過したところですが、写真を見て頂けるとわかるように、施工地であることを認識している人が注視してやっと気づくことができる状態です。
つまりは、周囲に溶け込むことで景観や環境を損なうことなく、法面補強の目的である世界遺産の原始林の保護(文化財保護)が達せられていると云えます。
まとめ
ユニットネット工では、今回ご紹介した春日山原始林以外にも、世界遺産である法隆寺、石舞台古墳や高松塚古墳などで知られる明日香村地域、在原業平の歌で知られる三室山(竜田川公園)など、数多くの文化財や史跡、景勝地での施工事例があります。
これらは、ユニットネット工の斜面対策工としての高い信頼性とともに、文化財や史跡・景勝地において特に求められる優れた景観性、環境性によって採用に至ったものであり、施工後の状況からはこれらの要求に対して期待通りの結果が実現されていることが確認できます。
情報引用元(出典)
奈良県公式ホームページ① https://www.pref.nara.jp/item/73340.htm
奈良県公式ホームページ② https://www3.pref.nara.jp/park/secure/2833/kasugayamagenshirin_guide.pdf
関連リンク
・ユニットネット工法
https://www.daika-net.co.jp/s04_unit-net.html
・ユニットネット工法の導入事例
https://www.daika-net.co.jp/kouhou/unitnet
・ユニットネット工法に関するよくある質問
https://www.daika-net.co.jp/faq/faq_cat/faq_cat01
・ダイカの斜面防災技術
https://www.daika-net.co.jp/service04_landslide.html
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