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ユニットネット工法:施工事例紹介(斜面崩壊後の復旧工事)

近年、集中豪雨などによる土砂災害(斜面崩壊)の現場が目立つようになってきています。

ユニットネット工法は急傾斜地崩壊対策や予防治山工事として活用されることが多かったのですが、近年は崩壊斜面の災害復旧工事でも活用されることが増えてきています。

今回はユニットネット工法を崩壊斜面の災害復旧工事に適用した事例をご紹介します。

〇災害復旧事例:道路法面の崩壊への適用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真は道路法面の崩壊状況です。

この斜面は国定公園内にあるため、植生について在来種の回復が見込める工法が望まれたことからユニットネット工法が採用されました。

斜面崩壊跡の災害復旧工事であることから、崩壊土砂を取り除き、切り立ってしまった法肩部分は整形し、斜面に残っている不安定部分を補強するという考え方で設計されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

施工完了直後の写真です。

地山が見えている範囲はユニットネット工法が施工された部分で、下部の緑化されている部分は軟岩層が露出した箇所です。軟岩層部については植生の回復がなかなか見込めないこともあり植生マットを敷設しています。

地山補強土工としてユニットネット工法が施工された部分は、あえて緑化せずに付近からの在来種の侵入を期待していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの現場について興味があったため経過観察を行っていましたが、施工後5年を経過したころには、松の若木が根付き始めていました。

切土箇所は、土砂といえども植生に適した土壌とは言い難いようで、養分も少なく、バクテリアもほぼいない状態です。植生回復のためには農業で云うところの土づくりの期間が必要と云えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も経過観察を行っていましたが、松が根付いてからは植生の回復は顕著に進みました。

かなりの期間を要しましたが、松だけでなく数種類の樹木が土砂部分を覆うように繁茂し、当初の狙い通りの結果となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、隣接する斜面では法枠を施工していました。1つ前の写真と同時期になりますが、やはり寒々しさを感じます。

〇災害復旧工事における緑化工法の併用

ご紹介した現場のように、斜面崩壊跡の表土は自然に植生が回復するには適していない可能性が高そうですので、ユニットネット工法を単体で適用するよりも、何らかの緑化工法を併用する方が良いように思われます。

崩壊により裸地となった斜面の表土でも、厚層基盤材や植生マットなどの緑化工法を使用すれば大雨が降っても流されにくくなるでしょう。

通常、ユニットネット工法は樹木の繁茂する自然斜面で施工することが多いため、樹木が雨滴を受けることで強い大粒の雨が地面に直接降り注ぐことが少ないです。そのため、裸地状の斜面と比較すれば表土の流出は抑制されます。

また、ユニットネット自体が表土の流出に対してある程度の抵抗力になっています。ユニットネットによって種子の流出が抑制されることから、緑化工法の検討を通常は行いません。

しかし斜面崩壊跡では水が集まりやすい地形になりがちであり、植生回復のためには地表面の土質や種子の定着についても考慮する必要があります。

 

 

 

 

 

大雨によって斜面崩壊が発生した別の現場です。人力により整形を行い、植生マットを敷設した状況です。ユニットネット工法により斜面の安定化を図るとともに、法面保護工としての機能と湧水の排水機能を期待して比較的厚みのある植生マットが採用されています。

この植生マットは既存の植生の侵入を期待して、肥料は入っていますが種子は混入されていないものを使用しています。

 

 

 

 

 

施工直後の状況と施工後半年が経過した状況です。比較的早く植生が回復しているので、しばらくすればユニットネットも植生によって隠れて目立たなくなるでしょう。

ここでは斜面崩壊後の災害復旧についての一例をご紹介しましたが、地山補強土工を採用する場合、従前の状態に近い復旧が出来るという点からもユニットネット工法は有意義なものと考えられます。