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ユニットネット工法:施工事例紹介(観光地・景観保護)

【はじめに】

ここ数年、景観保護が必要な急傾斜地の多くのエリアで、ユニットネット工法を施工している現場が増えてきています。

その中で、神奈川県鎌倉市内で施工されたユニットネット工法の現場を2か所ご紹介します。

【施工事例①:雪ノ下】

1つ目の施工事例は鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝ゆかりの神社として約800年の歴史を持ち、観光スポットとしても人気のある鶴岡八幡宮近くの雪ノ下という地区になります。

鶴岡八幡宮のような由緒ある寺社仏閣が多い鎌倉市には「鎌倉市 都市景観条例」が制定されています。

※「鎌倉市 都市景観条例」とは・・・

“古都としての風格を基調とし、地域の特性を生かした鎌倉市の都市景観を守り・育て・及びつくるために必要な事項及び景観法(平成16年法律第110号。)の規定に基づく手続等について必要な事項を定めることにより、市民参画の下に、地域性豊かな都市景観の実現を図り、もって潤いと安らぎのある快適なまちづくりに寄与することを目的”とした条例となります。

この現場は道が狭いうえに階段を上ったところであり、重機が現場に入れない場所でした。ユニットネット工法は最も重い部材の重量が約5kgと軽量で手運搬が可能です。また、既存の樹木を残しつつ景観を保護できるのが特徴です。この現場では、ユニットネット工法の施工に際して重機が不要でプラントヤードが省スペースで済むこと、部材が軽量であること、環境・景観保護が可能という理由で採用されました。

 

 

 

 

 

 

 

ユニットネット工法は基本的には自然斜面で施工します。そのため、写真のように支圧板が地山の凹凸に馴染まない箇所が出てくる場合もあります。

このような場合は地山の凹凸を微整形する、もしくは土のう袋を支圧板の下に設置するなどして支圧板を安定させます。

 

 

 

 

 

 

 

この写真は施工後から1年経過した様子です。植生が進みユニットネットも草木に隠れて自然と調和した風景となりました。

景観保護については、国土交通省が次のようなガイドラインを出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このガイドラインに則り、ユニットネット工法では鎌倉市のような都市景観条例がある地域では景観保護を目的として、支圧板などの部材をダークブラウンに塗装することが多いです。

【施工事例②:稲村ガ崎】

2つ目は稲村ガ崎での施工事例をご紹介します。

稲村ガ崎の周辺には、アニメ「スラムダンク」の代表的な聖地である踏切(江ノ島電鉄・鎌倉高校前駅付近)などがあり、近年では海外からの観光客も多くの人が足を運んでいるのを目にします。また、歴史好きの方には国の史跡にも指定されている「新田義貞徒渉伝説地」として馴染みがある土地となっており様々な方に愛されている地域です。

 

 

 

 

 

 

 

 

国の史跡に指定されているということもあり、景観保護の為に支圧板などの部材を塗装しています。

稲村ガ崎も雪ノ下同様、起伏が多い急傾斜地でしたが凹凸に馴染むよう工夫をして綺麗に施工して頂きました。

こちらの現場も、重機が不要でプラントヤードが省スペースで済むことや環境・景観保護が可能なためユニットネット工法が採用されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

左半分が今回施工した箇所で右半分が前年施工した箇所です。

施工直後は下草の処理などするため植生があまりありませんが、施工から2カ月程経過すると、法肩は日当たりも良く植生が回復しています。植生マットなどの緑化工法を併用しなくても、日当たりが良ければユニットネットが見えなくなるほど植生が回復する現場がほとんどです。

今回、神奈川県鎌倉市で景観を保護して施工した事例を2か所ご紹介しました。両現場とも、ユニットネット工法の特徴である施工性の良さや景観保護に優れている点が顕著に現れたと思います。

【まとめ】

現在日本には伝統的建造物保存地区が127地区もあります。

それに加えて今回ご紹介した鎌倉市も指定されている風致地区などは、文化的な風景や自然豊かな場所を守るため、建物を建てる際に制限が加えられます。それらを含めると日本には数多くの景観を配慮しないといけない地区があります。

古き良き日本の伝統的な風景を残すためにも、これからもユニットネット工法を広めていきたいと考えています。

少しでもユニットネット工法に興味がありましたら、こちらのお問い合わせより何なりとお申し付けください。

 

情報引用先(出典)

・鎌倉市都市景観条例

鎌倉市/鎌倉市都市景観条例(H20年2月1日改正) (city.kamakura.kanagawa.jp)

・国土交通省 景観に配慮した道路付属物等ガイドライン

( https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/road_design/pdf/guidelines.pdf )

・文化庁 国指定文化財等データベース

https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/790

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