モルタル・コンクリート補強用繊維について

モルタル・コンクリート吹付工とは

法面でのモルタル・コンクリート吹付工の目的は、風化・浸食及びこれらに起因する、はく落や落石を防止することであり、表面保護の役割があります。

モルタル・コンクリート吹付工は対象の法面を全体的にモルタル・コンクリートで被覆するもので、吹付厚が5~20cm程度と薄い事が特徴です。

モルタル・コンクリート吹付工は一般的に構造計算を伴いませんが、安全性能、耐久性能、第三者への影響などの性能検討は行われており、対象となる法面の勾配、湧水状況、地質構造や土質、降雨量などの環境条件が考慮されています。

モルタル・コンクリート吹付工の耐用年数を一律に設定するのは非常に困難です。比較的温暖で湧水などの少ない岩盤斜面への設置環境下では25年~35年ほど状態を維持したものもあれば、環境条件及び維持管理の状況が違う事により10年程度で補修したものあり、50年近く補修を行っていないものも存在するからです。

 

モルタル・コンクリート補強用ビニロン繊維とは

ビニロン繊維はポリビニルアルコール(PVA)繊維の総称で、繊維自体にOH基(水酸基)を有する親水性かつ耐アルカリ性にも優れた繊維です。このような性質を有しているため、水と反応して硬化するセメントと相性抜群の繊維なので、土木・建築分野で幅広く使用されています。

弊社ではこのビニロン繊維のクラテックを取り扱い、販売しています。

法面でのモルタル・コンクリート吹付工でビニロン繊維(クラテック)を使用する目的はいくつかあります。

・セメントと化学的に接着するため、乾燥収縮によるひび割れ抑制、ひび割れの拡大防止、吹付材のはく落防止が期待できるので、品質・耐久性の向上が図れる

・吹付け時、プレーンモルタルに比べてダレ防止になり、跳ね返りが少なく、作業員の安全性、作業性の向上が図れる。

・施工の際に必要となるラス金網の代替として使用する事で、金網敷設の工程を省く事が出来るため工期の短縮が図れる。

※金網代替として使用する際には、自重により滑動しないように地山にアンカーピンを打設します。

※現場条件により金網が必要な場合は、金網と併用してご使用ください。

モルタル・コンクリート補強用繊維 クラテック RFD400H×18

クラテックはPVA樹脂を原材料とするモルタル・コンクリート補強用繊維で、モルタル・コンクリート吹付工の性能を補完、支援する機能を有しています。

クラテックの比重は1.3で、水とほぼ同等の比重のため、吹付材の中で浮き上がったり沈み込んだりせずに、全体に行き渡る性質を備えています。全体に行き渡ったクラテックはその高い引張強度により、はく離・はく落被害の防止・軽減が期待出来ます。

 

また近年は気候の変化により夏場には40度近い気温に達する日も出てきています。モルタル・コンクリート吹付工を施工する現場は日陰のない法面も多いため、炎天下での作業は過酷な状況となります。クラテックを使用する事により金網敷設の省略が可能となりますので、工期短縮することになり、作業員の負担も減ります。

ただ、これまでのクラテックには欠点もありました。

モルタル・コンクリートに繊維を添加すると繊維同士が絡まって吹付機械が詰まり、作業に支障をきたすこともありましたが、この問題を解決した新繊維が販売開始となり、更に活用しやすい繊維へと進化しました。

クラテック使用現場の施工後20年経過状況

クラテックは1991年より法面向けでスチール繊維の代替商品として販売開始となり、30年以上の実績を積み上げています。

今回、20年以上経過した現場として、2002年に施工をおこなった大分県竹田市の国道57号線の道路法面と熊本県総合射撃場の2ヶ所の状況をご紹介します。

【国道57号線道路法面】

表面に薄くクラックが確認出来ますが、クラックが深く大きく広がっている様子はありませんでした。

表面にも繊維が確認でき、全体に生き渡った様子も確認出来ます。20年以上経過していますが、健全な状態を維持していました。

【熊本県総合射撃場】

※今回、現場確認の為に定休日に特別に許可を頂き、法面の状態を確認させて頂きました。

こちらの現場もクラックは入っていますが所々にとどまっているため、全体的には健全な状態維持しています。

現場の法尻にクラックを含む吹付材の破片が落ちていました。この破片はクラックが入りそれぞれバラバラになってもおかしくない状態でしたが、繊維の架橋効果により一番小さい破片を持ち上げてもバラバラにならず、クラテックによってそれぞれが繋ぎ止められ状態を維持していました。

※射撃場の法面はクレー射撃で使用する散弾銃の鉛玉を受け止める役割があり、毎週、定休日には薬莢や鉛玉の回収・法面の清掃が行われています。この破片はその時に発生したものと考えられます。

まとめ

クラテックは高機能な有機繊維です。使用・検討経験のない方は是非一度ご検討ください。

また、法面用クラテックの使用経験のある方も、2024年8月に改良品の販売が始まっています。従来品よりも更に性能が向上していますので再度、ご検討ください。

ご連絡お待ちしております。

情報引用元

土木学会:吹付けコンクリート指針(案)

協力:熊本県総合射撃場(指定管理者:熊本県スポーツ振興事業団・ミズノグループ)

熊本県総合射撃場【施設トップ】 | 一般財団法人 熊本県スポーツ振興事業団

関連リンク

・コンクリート補強材:株式会社ダイカ

https://www.daika-net.co.jp/product/p_5100.html

人気の土砂災害・
斜面防災対策コラム