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急傾斜地崩壊防止工事における、土砂災害対策としてのユニットネット工法の実際の効果

ユニットネット工法採用の経緯と様子

全国各地で行われている急傾斜地崩壊防止工事(がけ崩れ・土砂災害対策)ですが、この効果をユニットネット工法の採用現場の事例をもとにご紹介します。

今回、ご紹介するのは2014年に福岡県で実施された急傾斜地崩壊防止工事です。現場は朝倉市杷木星丸に位置する小学校の裏斜面です。この斜面には桜の木が植樹されており、春には綺麗な花を咲かせます。急傾斜地崩壊防止工事を行うにあたって、せっかくの綺麗な桜の木を切るのはもったいないという事で、樹木をよけて斜面補強が出来るユニットネット工法が採用されました。

斜面防災工事完了時の現場写真です。
右側の見切れている建物は小学校の校舎です。

ご紹介した朝倉市杷木星丸地区はユニットネット工法を施工してから3年後、2017年7月に豪雨被害を受けます。

ユニットネット工法施工箇所での豪雨土砂災害

平成29年7月九州北部豪雨の被害状況(内閣府 防災情報のページより引用)

降雨の概要

  • 7月5日から6日にかけ、対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく非常に湿った空気が流れ込んだ影響等により、線状降水帯が形成・維持され、同じ場所に猛烈な雨を継続して降らせたことから、九州北部地方で記録的な大雨となりました。
  • 九州北部地方では、7月5日から6日までの総降水量が多いところで500ミリを超え、7月の月降水量平年値を超える大雨となったところがありました。また、福岡県朝倉市や大分県日田市等で24時間降水量の値が観測史上1位の値を更新するなど、これまでの観測記録を更新する大雨となりました。

被害の概要

  • この記録的な大雨により、福岡県、大分県の両県では、死者37名、行方不明者4名の人的被害の他、多くの家屋の全半壊や床上浸水 など、甚大な被害が発生しました。
  • 加えて、水道、電気等のライフラインの他、道路や鉄道、地域の基幹産業である農林業にも甚大な被害が生じました。また、発災 直後には2,000名を超える方々が避難生活を送ることになりました。(原稿執筆時点(9月上旬))

災害直後の朝倉市杷木星丸の様子が国土地理院のYouTubeアカウントでご覧いただく事が出来ます。

>>【国土地理院】福岡県朝倉市 赤谷川の被害箇所2 – YouTube

この動画の1:40頃から写っている3階建て建物(小学校)の裏側がユニットネット工法を施工した現場になります。


赤枠付近がユニットネット工法の施工位置です。(動画内に赤枠はございません)

この朝倉市杷木星丸の斜面防災工事を行うにあたって、丁寧な調査と設計がなされたうえで、斜面崩壊・土砂崩れに対する抑止工法としてユニットネット工法が採用され、施工されました。そのため周辺の山々でがけ崩れ・土砂災害が多数発生している状況の中、ユニットネット工法を施工したエリアではがけ崩れ・土砂災害が発生しませんでした。

豪雨土砂災害後の状況

▼被災後の状況

被災後はユニットネット工法施工箇所と校舎の間に工事用道路が作られて、現場の地形は一部変わってしまいましたが、斜面の上部はユニットネット工法で補強された状態が続いています。

2023年7月に朝倉市を含む九州北部地域で再度、豪雨災害が発生し、現場から150mほど離れた斜面で土砂崩れが発生しましたが、ユニットネット工法施工箇所では大きな変化は確認できませんでした。

桜の木は相変わらずで、春には綺麗な花を咲かせています。

土砂災害を防ぐユニットネット工法の構造

ユニットネット工法は斜面崩壊防止工の分類の中で、地山補強土工に該当します。地山補強土工は斜面に穴を掘り(削孔)、その穴に鉄筋とセメントミルクを注入して補強材を作ります。補強材には、斜面内部の地盤と補強材との間に働く摩擦抵抗によって地盤が崩れることを防ぐ効果があります。また、地表面に張り巡らされたユニットネットで補強材を連結する事によって、補強材にかかる抵抗力を分散させたり、補強効果を高めることができるため、より斜面が崩れにくくなります。

※補強材の長さ・大きさ・本数は工法(商品)ごとの法面工低減係数:μによって差が出ます。係数が大きければ、補強材が担う抵抗力を少なくする事が出来ます。この差は工事費にも反映されます。

▼削孔工事の様子(2014年施工時)

急傾斜地崩壊防止工事は民家裏の斜面や法面で行われています。弊社は施工後にしっかりその役割を果たす事が肝要と考えており、その成果がこの現場で出たと考えています。

近年の記録的な大雨が増えている状況の中、どのような斜面対策工事を行ったとしても100%の安全を保障できるものではありません。弊社のユニットネット工法においても同様に、土砂災害からの絶対的な安全を担保できるものではありませんが、皆様の安心・安全を最優先に考えて防災・減災に取り組み、急傾斜地崩壊防止工事に貢献しています。

ユニットネット工法のご検討・お問合せはこちらから受け付けております。

■情報引用先(出典)

・内閣府:平成29年7月九州北部豪雨の被害状況と対応等について
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h29/88/disaster.html

・国土地理院:平成29年7月九州北部豪雨に関する情報
https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H29hukuoka_ooita-heavyrain.html#5

・九州地方整備局:令和5年6月30日からの大雨への対応
http://www.qsr.mlit.go.jp/bousai_joho/r506gouu/index.html